「都心に行くことも行かないことも選べる街。
“いい環境”で作品づくりも仕事もできています」
3年前に取手市にマイホーム兼アトリエを購入して引っ越してきた中島さん夫妻。
取手に住み、活動をすることを決めた理由や、住んでみて感じる取手の魅力について、お話を伺いました。
お二人のプロフィールを教えてください
- 七美さん
- 私は画家をしています。最近では、先月まで京都で別のアーティストの方と2名で展覧会を開催していました。
- 健さん
- ぼくは、デザイナーとして都内の企業で働いています。今は週2回ほど出社をしていて、それ以外は家のなかの作業部屋で在宅勤務をしています。企業に勤めるほか、アート作品もつくっていますが、最近は友人たちとゲームをつくることに熱中しています。
取⼿市に移住されたきっかけを教えてください
- 健さん
- 移住のきっかけは、コロナ禍による影響でした。当時は都内の賃貸のマンションに住んでいましたが、働いていた会社が、通常出社からリモート体制に勤務形態が変わり、寝室の横のデスクで作業するのがとてもストレスで。広い空間が欲しくなり、引っ越しを考えました。
- 七美さん
- 私も、絵を描くには、前の家は狭くて、照明との距離も近く、とても描きづらいなと感じていました。
- 健さん
- 妻が狭い部屋で描きづらそうにしているのを見ているのも、嫌でした。だから、広い空間で、自宅兼アトリエのような場所に引っ越したいと思い、新しい住居探しをすることになりました。
取手市への移住を決め、暮らしはじめるまでの経緯を教えてください
- 健さん
- もともと建築に興味があり、過去にも縁あってお借りした建物を自分の手でリノベーションしたこともあったので、最初は中古物件の購入とリノベーションに興味を持ちました。でも、予算もあるので、都内は候補から外し、神奈川県や千葉県から探しはじめました。探すなかで、なかなか予算や物件自体の特性でピンとくるものがなく、そのなかで、探すエリアを北上させて、利根川を超えてみると「あれ、こんなに安いのか」と思いました。そこから、予算に合いそうなので、新築も考えるようになりました。もともと、東京藝術大学の大学院に通っていたので、アートプロジェクトで何回か取手に来ていた経緯もあり、取手市でも土地を探していたところ、この場所に出会うことができました。実際に現地を見る前の段階で、ハザードマップなどを見ていても、このエリアは高台になっていて、現地に行ってみると日当たりもとてもよくて、即決しました。
- 七美さん
- 私が話を聞いたときには、もうほとんど決まっていた状態でした(笑)
- 健さん
- そこから、設計事務所の方と相談しながら、自宅兼アトリエを完成させました。実は、設計事務所の方に相談する前に最初に妻の意見も含めながら自分で図面をひき、意見をまとめたあとで相談しました(笑)
- 七美さん
- 私がアトリエとして希望したのは、ある程度の広さと天井高、画材や作品をおける倉庫があることでした。それらの点を重視して思いきり絵を描ける空間になったので、結果的に、リノベーションではなく0から考えながら自宅兼アトリエをつくることができてよかったです。この家で作品をつくるようになってから、広い空間で大きい作品をつくることができるようになったり、明るい空間で以前と違う色使いができたりと、創作活動にもいい影響が出ています。
- 健さん
- また、移住や自宅をつくる際、当時使用できた「わくわく取手生活実現事業における移住支援金」や「とりで住ま入る(スマイル)支援プラン」など、取手市の制度も利用させていただきました。
実際に取手に住んでみて、環境はいかがですか?
- 七美さん
- とても暮らしやすいです。散歩ルートが確保しやすくて、利根川まで歩く1時間ほどのルートが、今の定番散歩ルートになっています。そのルートのなかでも、河川敷で広い緑地や川を見ることができたり、夕焼けが綺麗だったり、図書館によって本を読むことができたりと、気に入っています。また、近くに美味しいパン屋さん(トロワフレーシュさん)やお菓子屋さん(こなのかさん)もあり、よく利用しています。
- 健さん
- そのほかにも、最近できた居酒屋さん(たたきの一九さん)や近くのとんかつ屋さん(やま忠さん)など、美味しいお店が市内に多いなと思っています。また、車で移動するときに、あえて裏道を通って、畑が続いている風景を見るとのんびりした気持ちになるのも、引っ越してよかったなと思えるポイントです。あと、話は変わりますが、通勤の面でも便利です。週2回ほど出社する会社が新橋なので、1本で行くことができ、しかも始発なので、楽に通うことができます。帰りにグリーン車でビールを飲みながら帰って来るのも楽しいですよ(笑)
そのほかにも、生活の変化はありましたか?
- 健さん
- はい、変わりましたね。移住を機に車を買ったことも大きく影響をしています。都内で車を持たずに生活していたときは、どこかへ出かけた際も、買い物しただけで、荷物がいっぱいになり途中で疲れてしまうことも多かったのですが、車があると、疲れずにいろいろなところをまわれるので、アクティブになりますね。都心の美術館や旅行なども車で気軽に出かけています。あとは、昔の東京藝術大学大学院時代の知人・友人に再会することも増えてきて、嬉しいです。
どんな方に取手をおすすめしたいですか?
- 七美さん
- 自分と同じような、ものづくりをしている人におすすめですね。すごく静かで、集中して創作活動ができるので、そういった環境を求める方に適していると思っています。
- 健さん
- 都会にすごくこだわりがある人でなければ、みなさんにおすすめです。不便さもなく、取手市内にもさまざまな魅力があるので。
お二人にとっての「ほどよく絶妙とりで」はなんですか?
- 健さん
- とりでは実家感のある街ですね。都心に出かけるにも、パッと行けて帰って来られる。でも、のんびりとした空気感があって、気持ちが落ち着く。そういった気分を感じながら暮らせることが“ほどよく絶妙”だなと思います。
- 七美さん
- 情報に飲まれずに済むのがいいなと思っています。都心部だと、建造物や人、物、メディアなどが無数にあって、いろいろな情報に飲み込まれるような感覚があるのですが、そういった場所に行きたいときは行けばいいし、行きたくないときは行かなければいい。情報とどう接するかを自分で選択できる心の距離感が“ほどよく絶妙”だと感じています。